(c)井上雄彦 I.T.Planning,Inc.
【豊玉戦】
湘北よりも豊玉の方にフォーカスが寄った印象で、湘北を客観視できるのは全国制覇を目指しているのは湘北だけじゃないという意図があったかはわかりませんが、私はそう感じた。
湘北は桜木以外はセリフが少なく対して豊玉は心理描写や回想シーンが多め。
全編通してもここまでの深堀りは珍しいのでは。(設定を盛り込めばいいという話ではないが)
岸本は荒れた性格だが、これはもともと強気な性格だったにせよ、金平監督に対する反抗心が積み重なって形成されたのではないかと思った。
本当に荒れていたら高校で部活なんてしないし、まして全国大会なんて無理がある。
普段は明るく後輩の面倒見が良いやつなんじゃないかと。(慕われている感じはある)
原因となった新監督の金平。
前任者を心底慕っているチームを任せられた不運は認める。
が、最初の自己紹介でラン&ガンを否定したことは致命的な落ち度だったと言わざるを得ない。
まず歩み寄ることをしなければ信頼関係は築けない。
これは部員の不運でもある。
そして南・岸本たちはラン&ガンに固執することになる。
高頭監督や記者、観客にいたるまでラン&ガンが豊玉のスタイルだと認められている様子から、金平監督は豊玉を全く変えることができなかった。
南・岸本だってディフェンスを軽視しているわけではなく、それは作中にディフェンスでも走っている様子や赤木にトリプルチームで対応する描写がある。
木暮は南のディフェンスを絶賛している。
バスケットは好きか? という大前提を忘れ、北野先生を慕うあまりラン&ガンに縛られてしまった。
ゲームを楽しむこと、そして勝ったほうが100倍楽しいこと。
この気持ちを忘れていなかったなら、金平監督の教えるディフェンスの重要さも聞き入れることができただろう。
試合前やハーフタイムの話しぶりから察するに金平監督は部員とまともに話し合っていなかったことが伺える。
ずっと無視されていたにせよ、試合終盤のタイムアウトでブチ切れて岸本を殴り怒鳴るまで、気持ちをぶつけることをしなかった。
テルオが 「知らんかった・・・」 と言っているので普段は険悪なムードはなかったと推察。
殴り怒鳴ることがいいとは言わないが、もっと早く部員と言い合うことができていれば豊玉の歴史は変わったかもしれない。
私が気になるのは北野先生。
教え子の最後の年に大阪から広島まで観戦にくるほど気にかけていたことは分かる。
ただ後任とうまく行っていないことをどう感じていたのか。
すごくいい先生のように描かれているが、教え子の考えを縛ったり後任のフォローをしなかったりと割とずさんな面もあるのではないか。
全国ベスト8でクビにされた理不尽さに、もうどーでもええわ感があったのだろうか。
最後に登場して恩師っぽくみせているけれど、実際はわからない。
他見どころは、桜木と安西先生の絡み、桜木と岸本のバスケ経験者と素人のツッコミやリアクションの違いなんかも面白い。
そして流川が会場の心を動かしているという場面で河田と野辺が抜かれる謎は今でもよくわからない。
コメント