【お金の減らし方】自分の欲求をよく知ること

お金の減らし方 森博嗣
著者 森博嗣

まえがき~第1章のお金とは何か? だけでも読む価値はあると思います。
金銭感覚や価値観についての気づきが得られるはず。

タイトルの【お金の減らし方】という言い方はお金持ちの嫌味ではなく、お金の使い方と読み替えても差し支えないかと。
お金は価値のあるものと交換するツールであるから、お金は使うとは得をするということ。
つまりお金が減ると幸せになるという考えからきたタイトルだと思います。
本書ではお金の増やし方という依頼があったので、わざわざ逆のタイトルと考えたと書かれていますが、そういう価値観がなければ考えもしないタイトルではないでしょうか。

本書では単にお金の使い方の話だけではなく、時間の使い方や価値観、欲求の叶え方といったことが書かれています。
ただそういったノウハウは書かれておらず、マインドの話になります。

また単にお金が減ったら幸せという話でもなく、お金で得られたものを消費することで価値が生まれると主張しており、私のように積みゲー積読の多い人にはそうとう耳の痛い話かと。

この本を読んでから積読消化と積読しない意識はがんばりましたが、積みゲー消化はできていません。

この状況を著者の言葉を借りて言うなら、それほど遊びたいと思っていなかった、ということになります。
否定したいけど否定できない自分が情けないです。

お金や時間があれば欲しいもの・やりたいこと、というのは、欲しくない・やりたくないと同じだと言っています。
本当に欲しかったりやりたいとことがあれば、なにかと工夫して叶えるもので、ある程度の大人なら誰しも経験があるはずです。

【やりたいことはあっても、やらないといけないことが多くてできない】というのも、やらないといけないことを我慢するほどやりたいと思っていない証拠。
一見自由に楽しく生きている人たちは、そのためのお金と時間を工面するために苦労していることを理解しないといけません。

我慢といっても苦行を強いられるわけではなく、【やりたいことをやるためにやらないといけないことをやる】程度の話です。

そうは言ってもなかなか大変だよ、ということもあるでしょう。
そのときは自分のやりたいこと、欲しい物を一度しっかり考える必要があります。
自分自身の本当の価値観や幸せが定まっていないから、お金も時間も無駄に使ってしまうのです。

そして他者に依存した価値観を見直すこと。
ものの価値≠値段、ということは言葉では分かっていても惑わされやすいモノサシです。
なぜ欲しくなったのかを思い返すと、他人が持っていてうらやましかった、流行だから、YouTuberが紹介していたから、などが浮かぶのではないでしょうか。(私も心当たりが)
他人に認められるためにお金を使うことに疑問を持ち、自分の価値観でしっかり判断する必要があります。

他人に認められる欲求が悪いというわけではなく、それがあなたの本心ですか? と。

先日話題になったユニクロ+Jの話。
まずほとんどのYouTuberは動画がなければ買うことがなかった人たちでしょう。
当日、出遅れて買えなかった人というのは、そこまでして欲しくなかったと見なしています。
さかのぼって発売前のレビューは再生数稼ぎで中身はわりと適当なことを言ってたんだなと。
本当に気になったり、欲しかったりしたら当日は並んだはずです。

ジルサンダーが誰かよく知らない私でさえ、買うなら並び必至の予感はしていたんですから。
ただ私はそこまでして欲しくなかったし、一番気になっていたのが店舗展開された商品だったので仕事の昼休みに買いに行きました。
その日の昼休みを犠牲にしてもいいくらいには欲しかった、ということです。

そんな+Jですが、素人の私でもわかる特徴は価格帯の高さ。
通常のユニクロはもちろん、他のコラボと比較してもけっこう高めでした。

誰が言ったか分かりませんが、+Jは高いユニクロか安いジルサンダーか、という判断基準が出てきました。

なるほど、と思いつつも、これは値段と価値を結び付けようとしている思考です。

本書に倣った価値観で判断してみます。
一番高かったのは、カシミアブレンドチェスターコート(確か)で24900円(税抜き)です。

これは非常におススメされていて、大絶賛の商品でした。
2万半ばでこのクオリティはすごい、と。

確かにすごいのかもしれませんが、それは他のブランドのチェスターコートと比較しての話。
金銭感覚が非常に狭い例と言えます。

ファッションから離れて、2~3万あれば他に何ができるか。
家族で外食を楽しめるとか、ゲームソフトが何本か買えるし、漫画を大人買いすることもできます。
このお金を残しておいてPS5に備えようとか未来のことでもいいです。
もし借金があるなら返済に充てるべきですし。

なんでもいいのでそのお金でどれくらいの価値が得られるか、広い範囲で判断できれば価値の低いものを買わずに済むし、逆に買い物により満足できるようになるかもしれません。

そしてさらに金銭感覚を広げてみます。
2~3万稼ぐのに自分はどれくらい働く必要があるのか。
つまりどうやってそのお金を手に入れたかを思い出し、またそのお金が戻ってくるのはいつだろうかと想像してみる。

あくまで私の感覚ではありますが、多くの人がこういう冷静な判断ができていたらなら、当日のように混乱は起こらなかったんじゃないかと思います。

まあまあの数が転売屋に流れたようですが(私は調べていませんが)、流行りものの転売は価値観の弱さにつけ入った行為であり、それが絶えないのは弱者多い証拠でもあります。

自分の価値観をしっかり持って惑わされないこと。
まず自分の好きなこと、楽しいこと、幸せだったり将来の目標なんかをどんどん書き出してみて少しずつ自分を理解してみましょう。
それがはっきりしてくると、お金や時間を有意義に使うことができるようになるし、そのためのお金や時間を工面する我慢もやりがいを感じるようになるのではないでしょうか。

私はまだまだこれからです。

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